再生医療の手続きをサポートして

 再生医療とは、ヒトの血液などを使って患部の治療に必要な細胞を再生させ、患部に移植するなどして治療するというものです。iPS細胞を使うという高度なものもありますが、身近な例でいうと、スポーツ選手などがアキレス腱の損耗がひどくて根治が困難となっている場合に、その患者の血液を使ってアキレス腱を再生するというリスクの低いものもあります。 
 このような治療方法は、治療する医師と医療機器メーカーに任されていたのを、患者のメリットの保護のため、かつ全国一律の基準作りのために、平成25年の議員立法により「再生医療等安全性確保法」、「医薬品医療機器等法」が制定されてルール化されました。立法後はリスクの程度に応じて、再生医療は3つに区分されました。

第1 再生医療の3分類
  ⑴ 第1種再生医療等
    ヒトに未実施など高リスク(ES細胞、IPS細胞)
  ⑵ 第2種再生医療等
    現在実施中など中リスク(体性幹細胞等)
  ⑶ 第3種再生医療等
    体細胞を加工等
以上の3つです。

第2 関係者
 ⑴ 医療機関
 ⑵ 再生医療に使用する医療機器等を提供する医療メーカー
 ⑶ 再生医療技術や法律の有識者からなる「(特定)認定再生医療等委員会」
 ⑷ 医療機関やメーカーとの意見調整をしてとりまとめて計画書等を作成し、同委員会に提出する行政書士

第3 行政書士の役割
   主に医療機関とメーカーと行政書士との間での継続的な打ち合わせを通じて、医療機関が、どのような手順で、患者の血液などの医療資材を入手し、いかなる方法でこれを製造し、どのようにして患者に投与するか等を決定する。
   計画書作成とともに、詳細な「患者への説明、同意の取り付け」、「細胞加工手順書」、「導入医療機関内における実施規程」など多岐にわたる書類も作成する。これらの書類は関係者の意見を聞きながら、かつ意見調整をしながら、行政書士がとりまとめて作成し、最後に「(特定)認定再生医療等委員会」に提出する。

第4 その他
   着手してから「(特定)認定再生医療等委員会」の認定を受けるのに、2か月から4か月くらい(場合によっては6か月くらい)かかり、意見調整や事務処理、関係法令等の調べは大変でしたが、やりがいのある業務でした。

                                       所員  鶴田彰文